2021-06-12から1日間の記事一覧

真面目な狂気:宮沢賢治・後篇「グスコーブドリの伝記」ほか

図らずもいましばらくの紙幅が与えられた。ついては、ネネムをめぐって述べたような言葉の魅力とはまた別の面に触れねばならない。たとえば、作品から浮かびあがる思想や人物、いわば〈宮沢賢治〉の読み解きである。 しかし困ってしまう。私には〈宮沢賢治〉…

魔術的な言葉の自律と強度:宮沢賢治・前篇「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」

個人的な思い出を述べれば、宮沢賢治はおそらく、私が名前を覚え、〈この人の本だから手にとって読む〉ことをした最初の作家だった。そして、読書とは目の前に異物として存在する言葉にとらわれそれを(作者の思惑など関係なく)味わい尽くす営みなのだ、と…