2022-01-01から1年間の記事一覧

人のふんどしで相撲をとる:30 Day Short Song Challenge

1日でやる(小説) - タイドプールにとり残されてに倣って、短歌でやってみます。 Day 1: A song you like with a color in the title Day 2: A song you like with a number in the title Day 3: A song that reminds you of summertime Day 4: A song that…

私をつくった10冊あるいは10節

どれほど違いがあるかは別にして、題に従うなら〈最愛の〉でも〈お勧めの〉でも(どうやら〈私をつくる〉でも)ないらしい点は一応触れておきます。冊子形態にこだわらない点を除き、できるだけ題に即したつもりです。有用性は仮想二題の方が高いでしょうが…

非現実より反現実を:中井英夫『幻想博物館』

【文章を生めず、また強いて生もうとしても取材の発想が言語に閉じ籠るので自分で辟易していたのだが、そういえば私には旧稿の転載という手段があったのを思い出して、久しぶりに転載する。書評対象は中井英夫『新装版 とらんぷ譚Ⅰ 幻想博物館』講談社文庫、…

詞華集2(ナボコフ『ロリータ』)

「だめ。全く問題外。[中略]つまり──」 彼女は言葉を探した。私は頭の中でその言葉を見つけてやった(「あたしの心をめちゃめちゃにしたのはあの人(﹅﹅﹅)なの。あなた(﹅﹅﹅)はあたしの人生をめちゃめちゃにしただけ」)。*1 "No," she said, "it i…

韻文

考察のために色々復習してたときに思ったけど、ちとせストーリーコミュのこの辺の蘭子の言葉ってカッコの中で読んじゃダメな気がする。蘭子がここでちとせに伝えたいのは蘭子語の方だと思う。蘭子のアイドル観と言うか。 pic.twitter.com/3BDvJz0yXY — バチ …

五七五

青い眼で罵っている甲子園 雑踏に猫の目ばかり光りたり 砕いても砕いてもゼリーはゼリー 眼に映りそののちを画は憑き纏う 遊ぶうちふいに玉割(たまわ)る夫姓(おっとせい) 眼鏡(がんきょう)が目を失ったまま歩く 裏返りけれども落ちてこない河 魂(たま…

千反田えるのこと

高校を舞台にした青春ミステリー小説『愚者のエンドロール』のなかで、登場人物の女生徒・千反田えるが、学友にミステリーの読書歴を問われて次のように答える。 「わたしは、読みません」 [中略] 「全く、全然?」 「わたしはあまりミステリーを楽しめな…

他者がいるという姿勢で

先生、 という呼びかけから書き出すことで、ようやく近来の不調が晴れて少しは健やかに言葉を綴れそうな気がしています。嬉しいことです。具体的な他者と少なくとも意識的には結びつきをもたないこの宛名が必要だったのは、つまるところ丁寧文末を用いるため…

子どもども

平日の朝にすごい数の子供が湧いて出て、赤や青やの革製背嚢(ランドセル)を負いつつ尽きるともない幾筋をなして進んでいく。それがもうしばらくの間、私が居住家屋を出るたびに続いている。現実味のない光景だ。私の住む国にもうそれほどの子供はいない気…

近況

書いたり話したりできない。書き出せないわけではなくて、書こうとしていることはあるのに、運ぶことができない。全てにおいて膂力がない。 割と前からなのでそんなに心配することでもないかもしれない。 【同日追記】 創元推理文庫のマーガレット・ミラー『…

春はとっても遠いとおもう(永井祐と倉橋由美子)

【ちょっと前までいくつか記事の下書きを試みていた覚えもあるのだが、どうも更新の見込みが立たないので(為すべき多くのことが出来ていない)、例によって転載でお茶を濁すことにする(一部表記等を修正している)。これは従前転載してきた書評と若干切り…