2020-01-01から1年間の記事一覧

他人に伝わるように言葉を使いたい

言葉を使えている気がしない。もっとまともに言葉を使えるようになりたい。 前回はとうとうこのブログの記事ではじめて字数が1万字を超えたらしい。注釈も21もついている。これら事象の中心にあるのはやはり引用の多さだろう。 前回の記事は一面では、なぜ…

「籠釣瓶はよく斬れるナァ」:それから『クズの本懐』とエアプのことなど

『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』という歌舞伎の演目があって、その劇中に出てくるらしい表題の台詞が好きなのだけど、実は「らしい」と書いたとおり私はこの台詞を聞いたことがない。歌舞伎自体数えるほどしか触れておらずこの演目も観たこ…

眼と首

【一年以上前に書いたまま手元にとどめていたものを蔵出ししてきた。ブログ記事として書いたものではない(具体的にいうならたとえば、縦書き表示を想定して書いていた)ので、やや読みにくいかもしれない。注釈もないので一つだけ附言しておくと、最後から…

エドガー・ポー「Hop-Frog」坂口安吾も添えて

最近創元推理文庫のポオ小説全集を、通読とはいかないが、歯抜けや順序の前後がありながらもおおむね読み進める機会があった。そこで「Hop-Frog」、この題名は主人公のあだ名でもあって永川玲二による当翻訳では「跳び蛙」と訳されているけれど、そういう題…

夏瘦せに拍車かけつつ(川野芽生)

夏瘦せに拍車かけつつ軀とはたましひの石切場 足らふな 歌集『Lilith』、連作「灼くべき羅馬」中の一首だ*1。歌全体への評というには余談めくけれど、この歌における「拍車」という語への命のあたえかたが好きなので、記しておく。 〈拍車をかける〉とは慣用…

短信

以下の文章は読む人によっては不快かもしれない。いや、それをいうならこのブログの他の記事だって大概不快なのではないか。この記事に警告をおくことの正当な根拠はなく、けれども私は警告をおく。 以前の記事で「私は[中略]まだ人が亡くなったことで激し…

追記:性的と官能的

「アロマンティック/アセクシュアル・スペクトラム調査2020」なるものを紹介する、松岡宗嗣による次のYahoo!ニュース掲載記事を目にした。 これを読んだあとで、いままでよく分かっていなかった性的指向と性的嗜好の違いについて、当ブログの前回記事に書き…

動物や言葉のこと

今日の記事は短いメモである。 当ブログのタイトルとも関連する話だが、おそらく私は自分を人間ではないように感じたことがない。以前先達に好きな動物を聞かれて「なんだろう、人間」と答えたことがあった(ちなみにその人の答えはオオサンショウウオあたり…

花ももみぢも思ひ描けず:形式、それから朗読速度

藤原定家に〈見渡せば花ももみぢもなかりけり浦のとまやのあきの夕ぐれ〉という短歌があって、よく〈「花ももみぢも」と言われた段階で読者はそれらをイメージし、「なかりけり」と否定されてもイメージは残ってしまう。その残り香を味わう歌である〉と評さ…

信用できない

信用できない、進行できない、使用できない、私用で畿内。修行できない、士業で期待、歯垢で奇態、し尿で着ない。親王敵な、伺候できない、始皇帝くらい近うて昏い。引用できないしんにょう的な、産業的な、陰陽的な。穏当(木偶な)、本当(急くな)、応答…

追記:唯我的敬虔断想

前回の記事で私が疑念を呈した自身の嗜癖についてもう少し*1。 たとえば数人で旅行にでて訪れた寺院の、それなりに人もありけばけばしいのにある時点で無人の室内灯もない部屋にひとり立つことになり、己の呼吸を意識しながら心のなかで手をあわせることにな…

音は静寂を聞くために

2018年3月16日に動画サイトYouTubeに投稿されてからなぜかまだ260回しか再生されておらずCDにも収録されていないと思われる傑作、書上奈朋子「0315」*1を聴くなどしているうちに、Chouchou「O come, O come, Emmanuel」にたどりつく。はじめて聞いたけれどと…

あいみょん「マリーゴールド」視点人物と歌手のジェンダー

まずは自分語り あいみょんの歌「マリーゴールド」を私がちゃんと聴いたのは2019年夏のことだったと思う。いま調べたら2018年にこの歌は、毎年末に放送される国民的歌番組である「NHK紅白歌合戦」において歌唱されていたそうで、それからすでに半年も経って…

『かぐや姫の物語』歌の記憶について

前回の記事を書いたあとで、高畑勲監督による2013年公開*1のアニメ映画『かぐや姫の物語』のことを思い出していた。この映画については一つ、大筋には関係ないが奇妙な点が印象に残っていたのだ。 竹取物語を翻案したこの映画では、一つの歌の記憶が語られる…

本当は手紙ではなく

前回の記事で私は、文章をインターネット上に公開することを、「不特定の他者に読まれる可能性を確保する」行為だと述べた。また、このブログの文章はなにより私自身のために書かれるとも述べた。 文章や作品を不特定の他者にむけて発信する行為は、とりわけ…

当ブログの開設経緯

ブログを開設することにした。当記事は、このブログの最初の記事となる。 なぜ開設するかといえば、自身の思考をアウトプットしたくなったからだ。 私は日々、多少のことを心に思い浮かべる。けれど、記憶力がいいほうではないので、文章として記録しないと…